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おり、逆を言えば中途採用Uターン者の受け皿としては、製造業が大きな位置を占めていることを示している。
また、現在の勤務先と直前の勤務先との従業員規模の相関を見てみると、Uターン者についてはr=0.296とかなり高い相関を示しており、非Uターン者がr=0.01と無相関であるのと対照的である。つまり、直前に働いていた企業規模と同じ程度の企業規模の企業に、Uターン就職するケースが多いことを示している。中途採用者のUターン就職では前の勤め先の企業と極端に企業規模が異なるとマッチングしないことを示しているとも言えよう。
また、中途採用者の転職回数の平均は1.69回であった。現在の勤務先の企業規模が大きいほど転職回数は少なかった(100人未満が2.36回に対して、300人以上は1.54回)。Uターン者では1.59回、非Uターン者では1.93回となっている。
図表1-16は中途採用者の現在の仕事、最も長く経験した仕事、これまでに経験した仕事についてそれぞれ整理したものである。これまでに経験してきた仕事では、事務系で営業・販売が45.6%と最も多く、経理・財務が18.9%で2番目に多い。それに対して、技術系の仕事は設計26.6%、情報処理23.1%、生産技術20.7%、研究・開発16.6%など多岐にわたっている。また、接客サービスの経験者も23.1%いた。なお、最も経験の長い職種には営業・販売(15.4%)、設計(14.8%)、情報処理(12.4%)、研究・開発(12.4%)などがあげられている。専門性が問われる職種群であって、転職を通して新しい仕事領域にチャレンジすることでキャリア・アップが可能な職種群である。

 

2. 現在の仕事と職場生活

 

−職場生活の満足度−
職場生活の満足度を満足(2点)、やや満足(1点)、どちらともいえず(0点)、やや不満(-1点)、不満(-2点)と尺度化して項目ごとに平均得点を求めてみると、図表1-17のようになる。総合的な評価では新卒Uターン者が0.50点、新卒地元採用者が0.33点、中途採用Uターン者が0.28点、中途採用で地元採用者が0.04点となっており、職場生活の満足度は新卒採用者の方が中途採用者よりも高く、地元採用者よりもUターン者の方が全体の満足度が高いという結果になっている。
しかし、項目によってその構造はやや異なる。すなわち、仕事内容に関しては新卒Uターン者(0.67点)と中途採用・地元採用者(0.60点)で点数が高く、賃金に対する満足度は新卒者よりも転職者で低く、それも地元採用者の方が低くなっていた。ちなみに、中途採用者の前職と賃金格差は年収べースで平均8.8%の減少となっていた。Uターン中途採用者に限ると-11.5%のダウンとなり、かなり落ち込む。しかし、一般には2〜3割下がるといわれており、それは年齢が高い層ほどその傾向が強いのだが、今回の調査結果では、平均的には一割程度のダウンにとどまっている。また、非Uターン者の場合は-1.0%と大幅な減少とはなっていない。
Uターン中途採用者では年収が5%以上減少したという人も65.8%を占めており、5%以上増加した人は17.9%にすぎない。一方、地元で中途採用となった人は5%以上増加した人と5%減

 

 

 

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